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なるほど! ことわざ経営学


蓼食う虫も好き好き

●戦略BASiCSでは、顧客:Customer のことわざ

●元の意味

蓼のような苦みがある植物を好んで食べる虫もいる。人の好みというのはかように様々なものである。

 

虫ですら(と言ったら虫に失礼ですが)好きずきがあります。まして、複雑怪奇な人間だったら……当然もっとすごい好きずきがあります。

あなたは、どんな腕時計をしていますか?

・秒単位で正確で、文字盤が見やすいデジタル電波時計?
・文字盤・長針短針・ベルトの調和が美しいアナログ時計?
・電池交換が不要なソーラー駆動?
・とっても可愛いキャラクター時計?
・ごつくて丈夫なG−SHOCK?
・記念に買ったブランド時計?


そう、腕時計に対するニーズも人それぞれなのです。

「蓼食う虫も好き好き」 ですが、

「時計する人も好き好き」

なんですね。

人によってニーズが違う、というセグメンテーションの真髄を、昔の人は既に知っていたわけですね……脱帽。

 

●性年齢のセグメンテーションの限界

顧客セグメンテーション、というと、個人顧客対象(BtoC)の場合、多くの場合において、性年齢などの、人口統計学的なセグメンテーションを意味します。

・ 20代女性
・ 60代男性

などですね。企業がTVCMを流す際に、CMの枠を購入するときなどは、もっとざっくりとしたセグメンテーションをしており、


・ M1 : 20〜34歳男性
・ F1: 20〜34歳女性

などの粗っぽいセグメンテーションをします。マス媒体という特性上やむをえないのですが、

F1(20〜34歳女性)というと、

・女子大生
・未婚有職女性
・DINKs
・子供がいる有職女性
・専業主婦

など、全くニーズが違う人たちを「十把一絡げ」(これもうまく言ったものです)にしてしまうわけです。

そんなの、無茶苦茶な話です。20代女性のニーズがみな同じわけがありません。

40歳の男性でも、土日も含めて超長時間労働で毎日終電、主食はカップラーメンという生活のハードワーカーもいれば、夜は高級フレンチ、土日は食べ歩き、なんていう優雅な人もいるでしょう。

つまり、

「飯食う人も好き好き」なんですね。


その一方で、40歳男性のハードワーカーの生活は、ハードな会社で働く23歳の独身男性ときわめてよく似通っています。性年齢だけで人が括れるわけが無いのです。

 

●同じ人ならニーズは同じか?

記憶テストではありません。

昨日の昼食は何でした?
2日前の昼食は?
3日前の昼食は?
(以下続く)

毎回同じでしたか?? たまに毎回ラーメンという人もいるかもしれませんが、普通は違います。


・ 今日は友人と話すから、静かなイタリアンで
・ 今日はがっつり食べたいからあの定職屋で
・ 時間が無いから牛丼!
・ 気になるあの人をフレンチに誘いたい
・ 今日の気分は豚骨ラーメンと替え玉!


と、同じ人ですら、昼食のニーズは、時と場合によって違うのです。

「イタリアンをゆっくり味わいたい私」 と
「10分で立ち食いそばですませたい私」 は、全く別人です。

「イタリアンをゆっくり味わいたい私」 は、
「10分で立ち食いそばですませたい私」 より、
「イタリアンをゆっくり味わいたい若い女性」 に近いのです。


もはや、「十人十色」ですら無いんです。

ここに、現代マーケティング論が言う「セグメンテーション」の致命的
な問題があります
。この当たり前の問題を声高に指摘する論者は、実
はあまりいません。

このことは、拙著「経営戦略立案シナリオ」で指摘していますが、もはや「人でくくる」ことの意味すら怪しいのです。そうなると、セグメンテーションを誇らしげに説明してる本や人は一体なんなんだ? という話になります。

 

●そこで、蓼食う虫も好き好き

それを解決するのが、「蓼食う虫も好き好き」なんです。

「好き好き」でセグメンテーションすればいいんです。つまり、

「こんな価値を求めている場合」

というセグメンテーションの仕方です。


そうすると、上にあげた

1)性年齢ではセグメンテーションできない
2)同じ人でも、求めるものが時と場合によって違う

という2つの問題が一挙に解決します。

「人」ではなく、「好み」によって分類するからです。

これを、「ベネフィットセグメンテーション」と呼びます。

ベネフィットとは、「お客様が求める価値」で、「ベネフィットによってセグメンテーションする」ことからそう呼ばれます。

 

●ベネフィットセグメンテーションの現実性

わかりやすい性・年齢のセグメンテーションに比べ、ベネフィットセグメンテーションは、現実には実現が困難と言われます。

しかし、性・年齢によるセグメンテーションで意味がなければ、そもそもセグメンテーションそのものに意味がありません。

また、性・年齢も、会って話をする場合はいいですが、その場合は、話してニーズを直接聞けばいいわけですから、セグメンテーションをする必要がありません。会わずに、アンケートなどに性・年齢を書かれた場合には、それが本当である保証は全くありません。

さらに、ベネフィットセグメンテーションは、実は案外簡単に実現できる場合もあります。


「こんなものが欲しい人、よっておいで!!」

というメッセージを出せば、それが欲しい人を集められるのです。戦略BASiCSの、最後のSelling Message、メッセージの意味はここにもあります。

「安いよ、安いよ!!」と言って集客すれば、安いモノをほしがる人が集まります。「うまいよ、うまいよ!」と言えば、うまいものが食べたい人が集まります。

「ベネフィット」をメッセージとして発出する、という当たり前のこと(しかし行われていない)を行うと、それがターゲット顧客に到達するという前提で、ベネフィットセグメンテーションが実現されることになるのです。


「蓼が食べたい場合」はどんな価値を求めているのか

「イタリアンが食べたい場合」はどんな価値を求めているのか

その価値を実現するように、4Pなどを考えていけばいいわけです。


また、テキストマイニングなどでいいツールができてきているので、それを使う手法もあります。

先ほどの、

M1:20〜34歳男性
F1:20〜34歳女性

というのは、TVCMを買う際のターゲティング指標です。

しかし、それ以外にも、TVCMの売り方はありえます。

例えば、

「健康番組セット」なら、健康を気にする人に

「スポーツニュースセット」なら、スポーツ観戦が好きな人に

など、実は、「ベネフィットセグメンテーション」の現実性は、やり方次第では、結構高くなってきているんです。

 

「蓼食う虫も好き好き」。昔の人は、本当にうまく言ったものです。



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